不動産との縁、人との縁

不動産との縁、人との縁

長年不動産業に携わっていると、不動産は縁が大事だなと感じることがしばしばあります。

どうしても欲しい人が買えなかったり、またはその気が無かった人が衝動買いしてしまったり。

不動産にまつわる幸不幸や不思議な「えにし」は、不動産業に携わる人なら多かれ少なかれ見てきているのでは無いでしょうか!?

1年売れなかった物件がある日同時に申込み

以前こんなことがありました。

価格が市場相場と乖離があり、売主さんから「売れなくていいから。登録だけ残しておいて欲しい」と言われていた物件がありました。物件の条件が悪く、価格も高かったのでほとんど1年ぐらい案内も入らず、ネット登録のみしていた物件でした。それがどうしたものか、ある日突然2件の案内が時間差で入り、そしてほぼ同時に申込みが入ったのです。

1年間も歯牙にもかからなかった物件が、突然人気物件です!共時性というのかも知れません。

中には、だれが見てもすぐ売れると思う物件が、問合せはたくさんあるのに何故か良いところまでいっても売れなかったり、反対に苦戦するなという物件もやけにスムーズに売れてしまうこともありますが、何らかの周期性がある気がします。

3度競売になった物件

これもずいぶんと前ですが、リノベーションされた不動産業者社有の物件を、ごく普通のファミリーに買っていただいたことがありました。その物件は、競売物件をその買取業者が入札で落とし、綺麗にリノベーションして再販していた物件でした。

謄本を見ると短期間に2度競売になっていた物件でした。しかし、そういう物件も他に無いわけでもなく、リノベーションされいていて大変見た目は綺麗ですし、立地等他の条件も悪くはありませんでした。

ところが数年後、その方も返済が滞り、任意売却の相談を受けることになってしまったのです。結局任意売却できたので、競売までには至りませんでしたが、なんの問題もなさそうな物件や購入者でしたので、なぜこうも続くのかと不思議に思ったものです。

苦しい時に

これは当社の話です。

リーマンショックの時は、本当に大変でした。あの頃、上場している不動産会社も数多く会社更生法等を申請した時期ですが、不動産業界では、「バブル崩壊時よりも厳しい」と言われていたものでした。

ちょうど姉歯事件を受けて改正建築基準法もあり、構造計算が必要な3階以上の建築確認は、全く進みませんでした。当社で購入していた土地は、その間に建築資金が枯渇してしまい、またリーマンショックにより土地売買もできず、最終的に競売になってしまったのです。

会社を経営していて、所有物件が競売になってしまえば廃業するのが通常かと思います。しかし、その時に雇用していた従業員には事情を話し辞めていただき、夜間の交通整理バイトまでして何とかしのぎました。競売後残った無担保債権についても、金融機関に呼ばれて「今財布にいくら入ってる?少しでも置いていって下さい」とまで言われたりしたものです。

しかし、諦めなければ何とかなるものです。紆余曲折ありましたがその無担保債権は、償却され無くなりました。当社での経験と、同じ時期に債務整理行った知人の会社に協力したことにより貴重な経験を積むことが出来たのは、不幸中の幸いでした。1つの物件が競売になっても、他の物件の主債権者と調整ができ、かつ担保に余りが無い「無剰余」でしたら、その他の物件は残すことも可能ということも知ることができました。

感謝と「待てば海路の日和あり」

任意売却中の方、競売になってしまった方、特に自宅を取られてしまわれそうな方は、大変な思いをされているかと思います。苦しい時は、また大変なことが続くものです。そんな時に足掻いても・・否、足掻けば足掻くほど泥沼に入り込んだりします。

私の乏しい経験の中で、言うのもおこがましいと言われるのを承知で私の考えをお話しさせていただきますと、そんな時の対処法は次の3点です。一つは、「今やるべきことを淡々と行うこと」「今の現状に感謝すること」「待てば海路の日和あり」です。

今まで曲がりなりにも乗り越えられたのは、周りの人たちに助けられたからです。本当に感謝でしかありませんが、感謝すると周りの人が助けてくれるということでもあるかと思います。

「待てば海路の日和あり」は、昔はあまりいい言葉に思えませんでした。努力を放棄している気がしたからです。しかし、本当に苦しくどうにもならないとき、暴風雨のただ中にいるような時は、どうしようもない無力感に襲われ、無理矢理変えようとすればするほど逆転します。そんな時は、ただ目の前のことに一所懸命向き合って、やがてくる日和日を待つことが一番では無いかと思うようになりました。

今回、お恥ずかしながら、当社の事や思いなども記事にさせていただきました。もし、苦しい思いをされている方に見ていただいて、少しでも気が軽くなればこんなに幸せなことはありません。

これから不動産を通じて出会う方々にとって、少しでも良い方向に向かえるよう尽力していきたいと思います。多くの方々とご縁を得られますようにお祈り致します。

 

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