媒介契約の違いって?選び方は?

媒介契約の違いって?選び方は?

いざお持ちの不動産を売却しようと不動産仲介業者に依頼するとき、どの種類の仲介(媒介)契約にした方が良いのでしょうか?

今回は、少しぶっちゃけ話(!)も交えてお話ししたいと思います。

仲介業者へ売りに出す際の仲介の契約、これを媒介契約といいますが、媒介契約には、専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の3種類があります。

専属専任媒介・専任媒介

専属専任媒介と専任媒介は、どちらも1社にのみ依頼する契約です。1番の大きな違いは、自己発見取引が出来る出来ないということでしょう。例えば、親類がその不動産を買いたいと言ってきた場合でも、専属専任媒介契約を締結している場合は、その業者に仲介をさせなければなりません。必然的に、仲介手数料負担が生じてしまうわけです!

但し、専任や一般媒介でも、「知人が買いたいと言ってるので仲介に入って欲しい」と言われたことは何度もあります。やはり、個人間契約はトラブルも多く不安もあるためご依頼いただくケースが多いかと思います。

また、専属専任媒介・専任媒介ともに指定流通機構(レインズ)に登録義務があり、専属専任は媒介契約締結日より5日以内(仲介業者の休業日を除く)、専任はそれが7日以内になります。他に、業務処理状況の報告義務があり、専属専任が1週間に1回以上、専任が2週間に1回以上になります。

私が、大手仲介会社のサラリーマンだったころは、メールも一般的で無かったということもあり、郵送のみでした。専任の場合、2週間に1回以上の報告義務に対し2週間目の同じ曜日に郵送すると実質2週間を過ぎてしまうので、例えば「5のつく日に送れ!」等言われていました。

次の一般媒介を含め、媒介契約の期間は3ヶ月間が限度となり、3ヶ月間を超えて締結しても、3ヶ月間になります。

一般媒介

一般媒介は、専属専任・専任のように一社のみということはなく、重ねて依頼が出来ます。明示型と非明示型があり、明示型は他社に重ねて依頼した場合、通知しなければなりません。一般媒介契約を締結する場合は、通常明示型だと思います。

一般媒介には、専属専任や専任のように、レインズへの登録義務や報告義務はありません。もちろんレインズへの登録は、任意に出来ます。

専属専任・専任・一般媒介のどれを選ぶべき?

恐らく仲介業者は「当社と専属専任または専任媒介を締結させて下さい」と必死になって言うでしょう!これは、当社でも同じですが・・(苦笑)

では、客観的に言って、専属専任・専任と一般とどちらが良いのでしょうか?

正直言いますと、「専属専任・専任がベター」と言いたいところですが、一概にはそうは言えない部分もあります。「物件情報は、新鮮味が大事です。一般媒介にしてしまうと各社が好き放題に情報をまいてしまって、購入検討者から売れ残り物件と思われてしまいますよ」と仲介業者は(当社も含め(再苦笑))言うでしょう。

これも1理あると思います。ポータルサイトに同じ物件が何社も掲載して並んでいると見栄えもよくありません。

前述の通り、1社と専属専任・専任媒介を締結するとレインズに登録義務があるため、日本全国の不動産業者がその情報を見ることができ、客付けができます。

「要は窓口です。窓口を1社にするか数社にするか?当社が窓口になって責任を持って営業活動を行います。」と仲介業者(当社も含め(再々苦笑))は言うかと思います。

結論から言いますと、はじめ専属専任または専任・・・後に一般に切り替え・・・という選択がベターかも知れません。成約しやすいのは、公開時と価格変更時が最大のイベントです。そのタイミングに一般でダラダラ?情報が流れるのは得策では無いかと思います。

問題は囲い込みと手持ち客

では、一般媒介の方が良いところは何でしょうか?

仲介業者は、仲介手数料のみが収入です。宅地建物取引業法に定められた法定上限手数料は、「仲介手数料3%+6万円の6万円って何?」の記事でお話しさせていただいた通り、売買価格400万を超える物件については、売買価格(税抜)×3%+6万+消費税です。これは売主・買主ともに1社の仲介業者が仲介した場合は、両方からいただけます。

先述のレインズで物件情報を知った仲介業者が客付した場合は、それぞれ売主側の業者は売主から、買主側の業者は買主から仲介手数料を頂戴することになります。これを私たちは「分かれ」と呼んでいます。

また、両方から仲介手数料をいただける場合、片方からのみ仲介手数料をいただける場合、それぞれ「両手」「片手」と呼んでいます。ちなみに、仲介手数料は成功報酬ですので成約に至らないと全く収入はありません。一般媒介ですと他社で成約した場合、経費のみかかって一銭も入ってこないことになります。

仲介業者は、この「両手」で取引を行いたく、特に大手不動産業者を中心として長年「囲い込み」が行われていました。こちらが昨年話題となった記事です⇒『大手不動産が不正行為か 流出する”爆弾データ”の衝撃

レインズに登録したばかりなのに「商談中」または「申込みが入っています!」と言われた物件が、1ヵ月経っても全く同じ返答ということもありました。中には、レインズに1度登録して「登録証明書」を取得してすぐに削除したり、「客付けはできません」と言われたことも(イヤイヤそれ業法違反ですから!!)

確かに私がサラリーマン時代は、専任媒介物件を他社が客付して「片手」取引になった場合は、上司から嫌な顔をされたり怒られたりしたものです。。

そのようなことが問題となり、今年1月からレインズの仕様変更があり、売主が募集状況について確認出来るようになりました。次のリンクをご参照下さい⇒『売却依頼物件のレインズ登録内容が確認できます

専任媒介等の依頼を受けた不動産業者は、先程書きました期間内にレインズに登録しなければなりませんが、登録時に発行された「登録証明書」を遅滞なく売主に交付しなければなりません。

登録証明書イメージ

売主は、受け取った「登録証明書」の下部のIDとパスワードで、ちゃんと情報を公開しているか確認することができます。もし専属専任や専任媒介を依頼されているにもかかわらず「登録証明書」を貰っていないという方は、すぐに請求してみてください。

それでも特に大手不動産会社は、体質上客付されるのを何とか回避しようとするのが多いのでは無いでしょうか?レインズには登録したけれども、図面はいつまでもたっても作成中!というのも新たな手法!?としてありそうです。また、自社ホームページや投函チラシなどお願いしても、まず大手不動産会社はOKしてくれません(-_-;)

しかし、最近不動産業界に参入した「ソニー不動産」は別です。ソニー不動産のレインズ登録図面には、「広告掲載可」と大きく謳ってあります。仲介手数料も流動的のようですし、中小不動産会社からすると脅威かも知れません。

上記のような「囲い込み」とまではいかなくても、情報公開を制限されることを考えると一般媒介の方が良いということになります。

また、業者独自の顧客やルートを持っていて、受託物件のみ紹介する場合もあります。例えば、医者のルートには滅法強くて、その業者の紹介だったら買ってしまうなど。その場合も一般媒介の方が良いということもあります。

<まとめ>

またサラリーマン時代の話で恐縮ですが、大手不動産会社の営業マンだったころは、一人の営業員に対して少なくても5~6件、多いと30件近い受託物件を持っている営業マンもいました。私も10~15件くらいは受託物件があったように思います。

その中で、専属専任や専任媒介のうち、比較的売れ筋の、需要の高いマンションや中古戸建などや少々安めの物件からAランク、そうでない専属専任・専任媒介物件がBランク、そして一般媒介物件はCランク以下という感じにランク分けされるわけです。広告費をかけるのは必然的にAランク物件からということになります。

もし一般媒介にされるなら、受託物件数の少ない地場不動産会社と大手不動産と合わせて出された方が良いかと思います。

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